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山崎浩二のSmall Beauty World

第84回 キャンディ・カッパー

2022年10月 公開

黒い地色にカッパー体色が乗ったキャンディの個体である。この地色のブラックのために非常に締まった印象となっており、各ヒレのカラフルさがより映える。玄人好みの魚と言えるだろう。

前回のコラムではコイベタのカッパーを紹介したので、続いてキャンディ(ニモ)のカッパーを紹介しよう。
コイベタのカッパーは2020年にタイを訪問した際に既に作出され市場で見る事ができた。
その際の飛び抜けた価格の事は前回のコラムでも書かせて頂いた。ただし記憶を辿ってみても、その際にはキャンディのカッパーを見た事は思い出せないというか、たぶん自分は眼にしていないと思う。
2022年現在の市場の様子を見る限りでは、最近になって市場に出てきたとは思えない。
たぶん自分が気が付かなかっただけで、2020年当時には既に作出されていたのだろう。

ボディとヒレに広範囲にカッパー色が乗った個体。このような色彩を味わい深いと捉えるか地味と捉えるかで評価は大きく分かれるであろう。
カッパーと言うよりもシルバーホワイトの色彩が、キャンデイ特有のオレンジ色の体色とバランスが良い配色となった美しい個体。体型やヒレも美しく、キャンデイ・カッパーの魅力を満載した魚と言えるだろう。

2020年当時は新型コロナウィルスの規制が始まったばかりで、移動するにも不自由が多く、いつものようにフットワーク軽くファーム訪問も出来なかった。特にお年寄りがいるファームでは来客を断っていたし、こちらもそれを察して訪問を控えていた。
この原稿を書いている2022年9月では、タイの1日の新規感染者は1000人を割っており、完全に終息したかのようである。それに比べて日本の新規感染者の数は相変わらず多くて、何故こんなに差があるのかと不思議に感じてしまう。
とは言え、10月からまたタイを訪問する身としては、日本よりもタイの方が安全なようで複雑な気分である。

ブラックのボディに背中側にべったりとカッパー色が乗った個体。派手なキャンディを見飽きた眼にはこうした渋い魅力の魚は目新しく感じられる事だろう。
元々のキャンディの派手な配色はそのままに、カッパー色がバランス良く散りばめられた個体。地味な感じに転びがちなカッパーのキャンディとしては明るいイメージを残した人気が高そうな魚である。

話が逸れてしまったが、2022年5月にタイを訪れた際には、キャンディのカッパーはもう完全に普及種になっていて、価格も落ち着いたものであった。
元々コイベタやキャンディと言う品種は個性豊かで、2匹と同じ色模様の魚はいない。そこに更にカッパーの色彩が乗ると更に個性豊かであり、魅力満載である。

ボディやヒレのブラックがアクセントとなり非常に精悍イメージの個体。カッパー色は控えめだが、鱗を強調するように散りばめられているのも、この魚を更に魅力的なものにしている。

ところが、日本の市場での人気を聞いたところ、最近はキャンディは完全に飽きられてしまったようで、売れ行きが良くないそうである。
それは何となく解らないでもないのだが、新品種のカッパーまでが不人気のようなのである。

自分などは久しぶりに訪れたタイで、値段も手頃で目新しいキャンディのカッパーを見て、嬉々としてモデルをセレクトしていたのに、それを聞いて非常に残念な気持ちになってしまった。と言うこともあり、キャンディの魅力を伝えるべく、他の新品種の紹介よりもカッパーの紹介を先にした次第である。チャトチャックのショップなどでは、同じカッパー系統のメスも容易に入手できるようになっている。普通のキャンディに飽きた方々には、一味違ったカッパーの魅力を味わって頂きたい。

ブラックのマーブル模様が魅力的な個体。カッパー色は尾ビレと背ビレに入るだけだが、赤い頭部など全体的にバランスの良いカラーがこの魚を美しく見せている。
カッパー色のマーブル模様が非常に美しいメス個体。このように明らかにキャンディのカッパーと呼べるメス個体も普通に流通しているのが嬉しいところである。ぜひこのようなメスを使い繁殖にもチャンレンジして頂きたい。

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