山崎浩二のSmall Beauty World

第30回「ドワーフ・スネークヘッドの色彩変異」

タイ北部ナーン(Nan)で採集されたホワイトアイのドワーフ・スネークヘッド。特徴的な色彩は薄らと残っていて美しい。通常の色彩の個体数十匹と一緒に入荷したそうである。こうした目立つ色彩の個体が野生下で生き残れる確立は低く、貴重な存在と言えるだろう。

ここ数年静かなブームなのがスネークヘッドの仲間である。インドやミャンマー方面から色彩的にも魅力的なニューフェイスが輸入されているのが、その人気の理由であろう。観賞魚の場合、決まった定番種だけが輸入されるジャンルは飽きられるのか、盛り上がりは少ない。逆に新しい種類が少しずつ紹介されるジャンルは飽きが来ないため興味を持続するマニアが多いようである。ドイツなどだと、自分の好みの魚種を数十年追い続けるマニアも少なくない。しかし、日本の状況を見ていると同じグループを長年に渡って興味を持ち続けるマニアは少ないようだ。これは国民性という言葉で片付けてしまえば簡単なのだが、魚に対する興味や取り組み方が大きく違うためなのであろう。

クリーム色の体色にホワイトアイが非常に特徴的な個体である。このホワイトアイは病気ではなく、2ヶ月以上飼育していても変化はないようである。正常な色彩の個体と異なり、若干視力は弱いようである。

話しが横道に逸れてしまったが、最近日本ではスネークヘッドだけをコレクションするマニアが増えているようだ。種類数が少な過ぎず多過ぎず、コレクション性が高いというのがその理由であろう。野生種の他にたまにアルビノやプラチナなどの人工改良種も登場している。
レッドスネークヘッドなどのように大型になる種類からドワーフ・スネークヘッドのように小型の種類まで様々な種類がいるが、レインボー・スネークヘッドに代表される色彩豊かな小型種がその中でも特に人気が高い。我が国の住宅事情を考えると、大型種の飼育には大型の水槽が必要になるので、小型種の方が人気が高いのは当然だろう。

このホワイトアイの個体は性格はそんなに神経質ではなく、水槽内を活発に遊泳する。ヒレにはドワーフ・スネークヘッドの特徴であるブルーやピンクの色彩も残っている。

この小型種の中でも古くから親しまれているのが、ドワーフ・スネークヘッドである。以前はChanna gachuaの学名で知られていたが、最近タイの種類は、Channa limbataとされている。この経緯は不勉強なので知らないのだが、いずれ調べたらこのコーナーでまた説明したい。

このドワーフ・スネークヘッド。分布的には非常に広範囲である。自分の知る限り、タイでは北から南までほとんどの地域に生息している。止水の池や沼、湿地帯に生息するプラーチョンなどと異なり、本種は流れのある川に生息している。大きな川よりも小さな沢のような渓流に主に生息している。このような環境で魚の採集をしていると必ずと言っていい程網に入って来る。分布が広いためか、その色彩は生息する河川により微妙に異なっている。最近は採集したロカリティがはっきりした個体も出回るようになって来ているので、色彩変異をコレクションする楽しみもあるだろう。

透明鱗と思われるドワーフ・スネークヘッドの個体。鰓蓋の辺りが透けて、鰓の赤さが見えている。やはりタイ北部のナーンから通常の色彩の個体に混ざって届いたものである。届いた当初はほとんど黒い色彩がなかったそうだが、次第に色素が増えマーブル模様になってしまったという。

小型種なので、飼育には大きな水槽も必要ない。あまり動き回る種類ではないので、基本的な60cm水槽で十分飼育が可能である。他のスネークヘッドに比べ、魚食性は強くなく、飼育下では冷凍アカムシや人工飼料も好んで食べるので、手間もかからない。特に色揚げ用の人工飼料を与えると背びれのオレンジ色のラインや体色が美しくなる。幼魚の頃は変哲もない魚だったのが、飼い込むにつれ美しい姿に変貌するのを楽しめる事だろう。水質にも特にうるさくなく、飼育は容易だが、注意点がひとつ。かなりジャンプ力が強いので、水槽からの飛び出しには注意したい。たぶんほとんどのマニアが飛び出しで干物にしてしまった経験があるだろう。水槽の蓋の上に重しを乗せるなど注意が必要である。

今回、タイのシッパーの元でこのドワーフ・スネークヘッドの色彩変異個体を2個体見る事ができた。今まで数多くの本種を見て来たが、このような色彩変異は見た事がない。非常に貴重な存在と言えるだろう。
まずひとつはアルビノと思われる全身が白っぽい個体である。アルビノ特有の赤やルビー色の眼ではなく、眼球の表面が白くなっている。よくpHが下がり過ぎた場合などに、このように眼が白く被る事があるが、この個体は病気ではなく、個体の特徴のようである。視力は弱いながらもはっきりと見えているようで、餌もちゃんと補食する。アルビノの魚特有の全身白っぽい色彩だが、ドワーフ・スネークヘッドの特徴的な色彩は薄ら残っていて美しい。サイズは20cm程だが、この個体はタイ北部のナーンという場所で採集されたワイルド個体だという。よく自然界でこのような目立つ色彩の個体がこのサイズに成長するまで生き残ったものである。

この透明鱗の個体は通常の個体と同様の黒眼である。性格的には非常に神経質な個体で、常に物陰に隠れてじっとしている。泳ぐのは餌を食べるときぐらいである。生きた魚やエビよりも冷凍赤虫の方を好んで食べる。

もうひとつは透明鱗と思われる、全身が白っぽく黒い模様が不規則に入る個体である。この個体もタイ北部のナーンという場所で採集されたものだという。入荷当初は全身が白かったそうだが、飼育しているに連れて黒い色素が増えてしまったのだそうだ。同じ採集場所でこのような色彩変異が2個体も見つかるのは非常に奇遇である。この地域には何かこのような色彩変異が現れ易いような遺伝的な因子が潜んでいるのであろうか?

この2個体、性格的には全く異なっている。ホワイトアイの個体は、比較的活発に泳ぎ回る。そのために撮影にはそんなに苦労しなかった。対して透明鱗の個体は非常に神経質で、水底にじっとしたまま微動だにしない。動かないので撮影は非常に簡単だが、動きのあるポーズをしてくれないので、絵的には面白くない。いつか泳ぐだろうと、水槽の前でカメラを抱えたまま数時間待ったが、全く動かないのである。数日間待ったが、泳ぎ回る姿を撮影するのは不可能であった。紹介している写真が面白くないのはご勘弁願いたい。

タイでは、このようなドワーフ・スネークヘッドの色彩変異の他、最近ではレッド・スネークヘッドのプラチナ個体なども紹介されている。人気が高まるにつれ、このような色彩変異個体も輸入されるようになるであろう。こうした貴重な個体はぜひ繁殖させ、貴重な遺伝子を残しておきたいものである。ドワーフ・スネークヘッドなら水槽内でも繁殖例はあるので、ぜひチャレンジしてみたいものである。

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