水作株式会社

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山崎浩二のSmall Beauty World

第50回「ベタの体色変化」

昨年12月にタイで購入し、撮影が済んだプラカットを日本の自宅に持ち帰り、2ヶ月程飼育してみた。
通常は持ち帰った撮影済みのベタはすぐに人に譲ったりして、長期飼育することはない。
なぜ今回2ヶ月も飼育を続けたかには、ある理由があった。
それは、2ヶ月の間にどれだけ体色変化するかを確認し、それを記録したいと思ったためである。ベタをよく知らない方は、成魚になったベタは、その後色彩は変化しないと思っているであろう。

確かに成魚になって、色彩が落ち着いてそのまま変化しない個体もいる。 特に単色の個体はその傾向が強い。 だが、ほとんどのベタは大なり小なり、成魚になってからも色彩は変化するのである。
特にマーブル系やファンシーと呼ばれる多色系の個体では、成魚になってからも劇的な変化をする個体も多い。 このような成魚になってからの体色変化がある事は、ベタの書籍でも書かれており、知識としては知っている方もいるだろう。 だが、通常飼育していると、その変化は緩やかで、体色が変化した事に気が付かないものである。
そこで、2017年の12月に撮影した個体を2ヶ月飼育し、再度撮影してその色彩の変化を確認しようと思ったのである。

この企画を進めるにあたり、モデルとなる個体を集めたのだが、実際はどの個体が体色変化するのかは全く予想が付かない。 取り敢えず、勘だけを頼りにモデル個体を15匹程用意して、2017年12月10日頃に一度撮影。
それを2ヶ月間飼育し、2018年2月10日頃に、前回撮影した写真と見比べてみた。
目論見は見事に成功!
個体によっては、かなり劇的な色彩の変化を見せてくれた。 特に変化の大きかった個体だけ、再度撮影した。
15個体の中から、変化の大きかった6個体の体色変化をここで紹介しよう。
ビフォーアフターの写真があれば、ベタの体色がこれだけ変化すると言う事は誰もが納得できるだろう。

全体に薄くメリハリのなかった体色が、濃く美しく変化している。特に頭部付近のオレンジ色の変化は大きい。また背部付近の白い面積も広がっている。この個体は良い方向に変化した例と言えるだろう。
白かった頭部付近に青の色彩が乗って来て、美しかったコントラスが無くなってしまった。色彩変化が悪い方に転んでしまった例と言えるだろう。
まだら模様だった体色が濃い赤に変化している。透明部分が多かったヒレも赤い面積が増えている。ほぼ元の個体のイメージは消えてしまっている。体色変化としては、かなり劇的な例と言えるだろう。
背部付近を覆っていた光沢のあるブルーホワイトの鱗が完全に消えてしまっている。体だけでなく、ヒレからも赤い色彩が抜けてしまっている。今後更に赤い色彩が抜けてしまうと思われ、悪い方向に変化した例と言えるだろう。
ヒレやボディの色彩に大きな変化はないが、頭部付近の白い色彩が完全に抜けてしまっている。比較的、体色変化の小さい例だが、この白い色彩がこの個体の魅力でもあったので、悪い方向の変化と言えるだろう。
今回の中で最も劇的に体色変化した例である。変化後の個体を見て、前の個体がどれだか全く分からない。僅かにシリビレの黒っぽい模様に、変化前の個体との共通点が残っている。短期間で、体側の白い鱗がここまで消失し、変化する例は珍しい。良くなったのか、悪くなったのか判断しかねる個体と言えるだろう。

体色変化も、良い方向に変化する個体もあれば、悪い方向に変化する個体もある。
こればかりは、なかなか予測困難である。
信用の置けるベタ専門店では、こうしたベタの色彩変化も販売の際に説明してくれるだろう。
何も知らないで、美しい体色が悪い方向にでも転んだら、騙されて販売されたと誤解するお客さんもいるかもしれない。
しかし、こればかりは運としか言いようがないのである。
今回の写真を見て、ベタは成魚になっても、これだけ個体により体色変化がある事を認識しておいて頂きたい。
ある意味、体色が変化する方が楽しみが二倍になるので、得した気分を味わえるかもしれない、と自分は思うのだが、いかがであろうか?

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