水作株式会社

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山崎浩二のSmall Beauty World

第110回 プートークのイエロー・シャレリー

オス同士で闘争するイエロー・シャレリー。普段は地味な体色が闘争時には鮮やかに変化するのはベタなどと同様である。尾ビレは見事なピンテールになっており、この特徴はブンコンロン湖のゴールデン・シャレリーと異なっている。

2025年11月、いつものようにラオスへと出かけた帰りにタイ東北部で採集、撮影などを行って来た。
ラオスのサワナケートからメコン川を渡ってタイ側のムクダハンに戻ると、目的地であるブンコンロン湖へと向かった。
もう何度もこの辺りには通っているので、今回は周辺のまだ探索を行っていない場所での採集が主目的であった。
宿はいつものブンコンロン湖の湖畔のリゾート。
ここは湖まで歩いて数秒と言う絶景のロケーションで、採集した魚の水換えなども非常に楽なので常宿にしている。
魚の採集に来る日本人なんて超珍しいので、ここのオーナーにはもう覚えられており、いちいち行動を説明する煩わしさがないのも嬉しい。

光線の当たり具合によって各鰭の模様は異なった印象となる。サイズ感や体型などからリコリス・グーラミィなどのパロスフロメヌス属を彷彿とさせる。
色彩は状態によって大きく異なるが、写真では体側のイエローラインがはっきりと確認できる。全体的にイエローを強く感じるので、他の個体群と区別するためにここプートーク産のシャレリーは、イエロー・シャレリーと呼んで区別したい。

このブンコンロン湖、最初に訪れたのは2016年で、スマラグディナのギターのワイルドの生息状況を見に来たのが最初である。
当時はまだ観光地としてはそんなに知られておらず、まだ長閑な雰囲気の場所だったのだが、その後観光地化が進み、現在では欧米人もかなり訪れる立派な観光地になってしまった。
湖畔周辺には立派なリゾートが建設され、夜には音楽が鳴り響くギラギラのライトで飾られた飲食店が立ち並ぶようになり、静かな田舎の環境が好きな自分にとっては何だかなーと言う変化であった。
さて、今回はブンコンロン湖の周辺にあるいくつかの滝周辺を探索してみようと計画していた。
まずはグーグルマップでチェットシー・ウォーターフォールを目指す。

イエロー・シャレリーやオリジアス・メコネンシスの生息する水たまり。
大場所よりも採集にはこれぐらいのサイズの場所の方が効率は良い。ここでは可愛い子犬2匹も採集に参加してくれた。

目的の滝に着いたものの、滝とは名ばかりで水が全く無い。辺りには水があった名残のホシクサやモウセンゴケなどの植物が自生しているだけで、魚のいる環境は全くなかった。
滝を下って道を走っていると、何となく良さげな雰囲気の水辺を発見。
水面を見るとオリジアスらしき魚の影も見えたので、網を入れてみる。
場所的にはメコネンシスかと思ったのだが、採れた魚をビニール袋に入れて良く見るとオリジアス・ソンクラメンシスだった。
撮影用に15匹程キープして、次の場所に向かう。

相棒のトンはどこか目的の場所があるのか、道路脇の売店で何か道を尋ねている。
その場所で話を聞いていると、店の裏の池にベタがいると言う。
ブンコンロン湖からは少し離れているので、ギターなのか興味があったので、ここで少し採集をする事に。
可愛い子犬2匹も採集に参加して、網を入れると直ぐにオリジアスが採れた。
ビニール袋に入れて確認すると、尾鰭に鮮やかな赤いツインバーが確認出来た。
先ほどの場所からあまり距離が離れていないのに、ここのはメコネンシスであった。
体色もやや黄色みを帯びており、ブンコンロン湖産のメコネンシスに似ているが、日本に持ち帰ったので、ソンクラメンシスと共にきっちり水槽で仕上げてから撮影する予定である。

イエロー・シャレリーのメス個体。尾ビレのピンテールなどはオス同様であるが、腹部に白く卵巣が透けて見えているので、判別は容易である。たぶん他のトリコプシス属の魚と同様に水草の葉裏やオーバーハングした場所にオスが泡巣を作り繁殖すると思われる。
同じ場所で採集したクローキング・グーラミィ。オス同士で闘争する姿は並魚と侮れない。この場所ではイエロー・シャレリーよりもこのクローキング・グーラミィの生息数の方が多い。

目的のギターは採れないが、次に網に入って来たのは、トリコプシス・シャレリーである。
尾鰭のスペードテールが良く目立つが、ブンコンロン湖のゴールデン・シャレリーよりも小型だし、色彩や尾ビレの形が違う。
と言う事で撮影用に数匹をキープ。
その間もトンは採集を続けたが、ギターは採れないがメコネンシスはそこそこ採集出来たようだ。
トリコプシス・シャレリーの他に、クローキング・グーラミィと呼ばれるトリコプシス・ヴィッタータも採れたのだが、何となく他の場所のよりも体色が綺麗な気がして、いつもならリリースするところを撮影用に5匹だけキープ。
結局、目的のギターは採れなかったが、これは次回の課題としよう。

同じ場所の水面近くではこのオリジアス・メコネンシスの群れの姿が見える。メコネンシスも生息場所により微妙に体色や体型が異なっており興味深い。この場所から数キロメートルしか離れていない場所では、メコネンシスではなくオリジアス・ソンクラメンシスが生息しているのも興味深い。

2026年の2月、トンが日本に出荷するための魚を採集に再度プートークに行ったところ、前回は採集できなかったベタ・スマラグディナが採れたようだが、尾ビレにギターの様な模様は無いという報告を聞いている。
次回タイに行った際に自分の眼で確認してから、また報告したい。
バンコクまで大事に持ち帰ったシャレリーとヴィッタータを落ち着いたところで撮影したところ、現地で感じた違和感は当たりであった。
シャレリーは通常のシャレリーともゴールデン・シャレリーとも異なり、黄色味が強く、尾ビレのピンテールが目立つ全く新しいタイプであった。
他のシャレリーと区別するためにこのシャレリーはイエロー・シャレリーと呼ぶことにしよう。
いつもなら採れてもリリースしてしまうヴィッタータも、通常のタイプと異なりかなり黄色味が強く、尾ビレの中央の模様も異なっている。
採集後にトンがどこかに向かって車を走らせた。

この棲息場所からすぐ近くには有名な観光スポットであるワット・プートークがある。独特の形状をした岩山の頂上にお寺が作られており、敬虔な仏教徒であるタイの人々はお参りに行くのだが、険しい岩山を登るのは大変で、足場の悪い崖を2~3時間かけて行くようである。それを聞いて今回は登るのは諦めた。

その場所はワット・プートークと呼ばれ、ここブンカンでは有名な観光地であった。
プートークとはタイ東北部の方言で孤立した山を意味し、この独特の形状をした山の山頂に寺院があるそうである。
トンはここの寺院でお祈りがしたかったようである。
無宗教な人間が多い日本人と異なり、タイ人は敬虔な仏教徒である。
車を運転中でもお寺を確認すると手を合わせてワイ(合掌して頭を下げる挨拶)をするぐらいである。
このワット・プートークの近くで採集したシャレリーは、今回サンプルを持ち帰った事で、今までに知られている魚とは全く異なるタイプである事がはっきりしたので、今回ここで紹介する事にしよう。
たぶん2026年にはこのプートークのイエロー・シャレリーは商業的にリリースされると思われるので、運良くゲット出来た際には大切に繁殖までチャレンジして頂きたい。

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