山崎浩二のSmall Beauty World

第27回「コイベタ・ハーフムーン」

コイベタ・ハーフムーンのスタンダードとも言える個体。ヒレが長くなった事から錦鯉というよりも金魚のようなイメージとなっている。もちろん体やヒレの色彩は個体毎に異なり2匹と同じ個体はいない。自分だけの1匹をセレクトできるのもコイベタの魅力であろう。

ベタの本場タイのベタ市場でコイ(KOI)という名前が使われるようになったのは5~6年程前だろうか?
初期のコイベタ(Koi-Color Short Tail Betta)は色彩的にマーブルと呼ばれる魚の中で錦鯉の色彩を彷彿させる個体に付けられていた。
この時点では、コイベタは系統的にはまだ固定されておらず、マーブルを繁殖させている中からたまたま現れるぐらいの存在であったようだ。
タイでも日本の錦鯉は人気が高く、知名度は高い。そうしたことからコイベタもタイでは人気が高まり注目を浴びるようになって来た。 人気の高まりとともに需要も高まり、その色彩の固定率を上げようとブリーダー達も努力したようである。

赤い色彩が目立つコイベタ・ハーフムーン。ヒレの伸長具合も申し分ない個体である。この個体などは色彩などから金魚の朱文金を彷彿とさせる。

数年前からバンコクのベタ・コンテストでもウルトラマン(古い!!)のような肌色の下地に赤い模様が不規則に入る個体の出品が増えて来た。この辺りの魚が現在のコイベタの元になったと考えられる。 その後コイベタはさらに進化を遂げ、肌色をベースとした白地に赤や黒の模様が入る色彩として固定され、まとまった数が市場へとリリースされるようになった。
最近のコイベタを見ると、鰓蓋の色彩が透けて見える個体も多く、熱帯魚で言うブラッシング(透明鱗)の系統が多いようである。

黄色と黒の色彩が美しいコイベタ・ハーフムーン。オリジナルのコイベタでもこの色彩は非常にレアである。地味ではあるが非常に魅力的な個体である。ややヒレは短めだが、全体のフォルムは美しい。

より錦鯉に近い色彩のコイベタへと変貌を遂げたのであるが、元のマーブル系等の血筋から同じ色模様の個体は2匹といない。
繁殖させた多くの魚の中から選別をして、コイベタと呼べる色彩の魚を選ばなければならず、手間やロスも多い。そのため、プラカットの中でも比較的高価な存在で取り引きされる事となったは仕方の無い事であろう。
日本の観賞魚市場では、2014年の秋頃から急にコイベタの人気が高まって来た。その要因となったのはアクアライフ誌においてコイベタの小特集が組まれたのがきっかけのようである。 最近低迷している日本の観賞魚業界が雑誌の影響により活気が出る事は非常に嬉しい事である。
このような状況は久しぶりと思われるが、更に業界に好影響を与える記事を雑誌には提供して欲しいものである。 
2015年になりプラカット(Short Tail Betta)だけであったコイベタの世界に新たにハーフムーンが登場した。 人気の高いコイベタをハーフムーンに改良しようと言うのは、ブリーダーなら誰もが考える事。 しかし、遺伝情報経への十分な理解や交配の技術がなければ誰もができると言う物ではなく、タイでも極少数のブリーダーしか成功しなかったようである。

色彩、プロポーション的にもほぼパーフェクトなコイベタ・ハーフムーン。誰もが美しいと感じる個体であろう。この美しいフォルムを維持するには日々のフレアリングや世話が必須である。

2015年2月現在、自分が得た情報では2件のブリーダーの元でしかコイベタ・ハーフムーンを生産していないそうである。
タイのベタ・ショップが数多くお店を並べるサンデーマーケットでも、自分の知る限りでは2つのショップでしかまだコイベタ・ハーフムーンを販売していない。

タイのベタ情報通に聞くと、コイベタ・ハーフムーンはそこそこ数はできているそうだが、ハーフムーンと呼べる尾開きが180度以上になる個体はまだ少なく、繁殖した多くの魚がデルタテールかスーパーデルタだそうである。
その中から本当にグレードの高い魚を選ぶのはかなり大変な作業のようだ。
しかも、タイは12月~1月は気温が低く生育速度が鈍かったため、十分な数を市場に出せるようになるまでにはあと2ヶ月程要するそうである。

オレンジ色の色彩が美しいコイベタ・ハーフムーン。オリジナルのコイベタにもオレンジ色の個体がいるが、数が少ないのかレアな存在である。更にハーフムーンとなれば超レアと言えるだろう。

日本の市場的には暖かくなる4月以降の方がベタの動きもよくなるので、グッドタイミングと言えるだろう。
そのような状況の中、まだ流通している魚が数少ない中からコイベタ・ハーフムーンのハイグレードの魚を撮影のために知り合いが用意してくれた。
美しい色彩とフォルムをご覧頂きたい。

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