水作株式会社

水作株式会社

日本語サイト
english site

山崎浩二のSmall Beauty World

第98回 スプレンデンス・ブラック&ベンジャロン・ブラック

2024年5月 公開

オス同士で闘争するベンジャロン・ブラック。体側や各ヒレにはブルーやイエローの色彩も目立ち、ソリッド・ブラックの魚とはかなり違うカラフルなイメージだが、ワイルド系のブラックはこれぐらいでもいいのかもしれない。

魚の色彩の好みは国民性によるところも大きい。
日本人で言えば日本の国旗の配色でもある紅白は非常に好まれる。これは縁起の良い色彩と言う点もあるだろう。
ベタの本場タイでは、タイフラッグと呼ばれるタイの国旗の配色である白と赤と青のベタが作出された際にはとんでもない高値が付き、ニュースでも大きく取り上げられた。
現在では量産された事から値段も落ち着いているようだが、人気は高いようである。こうした国民性とは別に、マニアによって高い支持を得ている色彩がある。それがブラックである。

観賞魚の世界では、かなり多くの魚でブラックの改良品種が作られている事からもその人気は分かるだろう。ベタも例外ではなく、かなり古くからソリッドのブラックが作出され定番の色彩として親しまれている。ガチガチのマニアである自分も、このブラックという言葉には敏感に反応してしまう。

こちらはスプレンデンス・ブラックの商品名で2023年秋に見つけた魚である。スペード状に伸長した尾ビレや全体のフォルムが見事であるが、全体的にモノトーンの色彩でシックな魅力の魚となっている。
オス同士で闘争するベンジャロン・ブラック。尻ビレと尾ビレのエッジはブラックで縁取られており、良いアクセントになっている。これでボディのブラックが更に濃くなれば完成度は増すだろう。

2023年の11月、いつものようにチャトチャックのベタ屋を巡回していた際に、あるお店の主人に今入荷したばかりのスプレンデンス・ブラックがいるけどどうだい?と営業された。
入荷したばかりの新品種と言うだけでも涎物なのだが、ブラックと言う単語が更に購買意欲をくすぐった。実際、この時点ではワイルド系のスプレンデンスではまだブラックの改良品種はまだ登場していなかった。
入荷したばかりでまだ誰も購入していないので、おまえが一番最初だと言う本当か嘘か分からない営業トークに気を良くして実物をチェックする。
想像していた真っ黒のブラックではないが、尾ビレが美しく伸長したモノトーンのワイルド系スプレンデンスがいて、速攻で美しい2ペアをセレクトして購入した。
非常に元気の良い個体だったので、翌日には撮影も無事に済ませる事が出来た。
新品種なのでどのように紹介しようかと考えていたが、いかんせん全く派手さの無いシックな色彩なので、紹介する順番は後の方になってしまった。

スプレンデンス・ブラックのオス個体。伸長したスペード状の尾ビレや各ヒレのフォルムも美しい。尾ビレのブラックのエッジもその名に相応しい。全体的にモノトーンのシックな魅力の個体で、素人よりもガチのマニアに受けそうである。

そうこうするうちに2024年になってしまい、4月になってまたタイを訪れると、前回スプレンデンス・ブラックを買ったショップで、今度はベンジャロン・ブラックが6ペアだけ入荷したばかりだと見せられた。
どうせまた同じ魚なのだろうと思い、暗い水槽を懐中電灯で照らすと、予想に反して以前の魚とは明らかに系統の違う魚である。体色にはややバラツキがあり、各ヒレや対側の鱗にはブルーの色彩も見られる。各ヒレに入るイエローの色彩から推測すると、スプレンデンス・イエロー辺りからの発展系のようである。
尾ビレの伸長具合は以前のスプレンデンス・ブラック程ではないが、尻ビレも良く伸長し非常に美しいフォルムである。このベンジャロン・ブラックを見た瞬間、この2タイプのワイルド系スプレンデンスを一緒に紹介したら面白そうだとアイデアが閃いた。これでお蔵入りしていたスプレンデンス・ブラックも陽の目を見る事が出来る。と言う事で今回は2つの系統のブラックのワイルド系スプレンデンスを紹介するので、写真でその違いを見比べて頂きたい。

スプレンデンス・ブラックのメス個体。対側の鱗や各鰭のエッジにブラックが確認出来る。オス個体でも体側のブラックが物足りない印象なので、この点に気を付けて改良を進めていけば、更に魅力的な個体が作出出来るであろう。
ベンジャロン・ブラックのメス個体。オス個体同様に体側上部の鱗にブルーの色彩が目立つ。これを魅力として残すか、更に黒みを追求するかによって今後の魚は異なってくるだろう。この個体は卵巣も透けて見えており、すぐに繁殖に使えそうである。

ところでこの商品名のスプレンデンスとベンジャロンの違いであるが、いくつかの店で確認してみたが、明確な定義がある訳ではなく、その時の気分で名付けているフシがある。自分としては、尾ビレがスペード状に伸長するのがベンジャロンで、そうではないのがスプレンデンスと区別しているのかと想像していたのであるが、考え過ぎだったようである。

この原稿を書いているタイミングで、またスプレンデンスの新品種のニュースも入って来た。
かなり活発な動きのあるワイルド系スプレンデンス、日本でも受け入れられると面白そうなのであるが、まだ難しそうなのが少し寂しいところである。

水作株式会社
〒110-0016 東京都台東区台東1-9-6 水作秋葉原ビル
TEL : 03-5812-2552 (お客様相談室)