山崎浩二のSmall Beauty World

第3回「夏色のプラカット」

今回はベタの本場タイのバンコクにあるサンデーマーケットで見つけた、夏にぴったりの色彩をしたプラカット達を紹介しよう。
その前に、まずはプラカットって何?っていう初心者のために、ベタの品種をおおまかに解説するところから始めよう。通常ベタと呼ばれる魚は、ベタ・スプレンデンス(Betta splendens)の改良品種である。
タイにはこのベタ・スプレンデンスの原種も生息しているが、開発による生息場所の破壊、改良品種との交雑などにより、現在では見るのが難しい状況となっている。この原種に関しては、今後このコラムで紹介する予定である。
日本のショップなどで一般的に見られるベタは、トラディショナル・ベタとも呼ばれる事がある改良品種で、長く伸びたヒレが優雅である。価格的にも手頃で、熱帯魚ショップならどこでも販売しているポピュラー種である。
最近、人気が高いのが、美しいヒレをさらに改良し大きく広げたハーフムーンと呼ばれる品種である。これは尾びれを広げた形状が半月のようになることに由来する。ここまで尾びれが広がらない魚は、スーパーデルタと呼ばれ区別される。このハーフムーンは、欧米ではよくコンテストも開催され、その美しさが競われている。このコンテストの事をショーと呼び、ショークォリティ・ベタというのを省略し、ショー・ベタと呼ばれる事もある。

各ヒレの軟条が伸長し、櫛の歯のようになった改良品種は、コームテール・ベタ、あるいはクラウンテール・ベタと呼ばれる。この呼び名は良い個体の尾びれが王冠のような形状に広がる事に由来している。主にインドネシアで養殖される事から価格的にも手頃な品種である。
タイ語で噛む(カット)魚(プラ)と呼ばれ、闘魚に使用されてきた品種がプラカットである。これは他の改良品種のようにヒレは伸長していないが、原種に比べて大きな体、がっちりとした頭部が特徴である。スリムなボディの原種とは大きく異なる体形をしている。
このプラカット、当初は闘魚のために使われ、強い血筋を固定しているうちに色彩も様々なバラエティが固定されるようになった。そのうち、闘魚のためではなく純粋に鑑賞用として改良されるようになり、現在でもその改良は盛んである。
タイではベタというとこのプラカットが最もポピュラーで、マニアにも人気が高い。バンコクのサンデーマーケットのベタ・ショップでは、このプラカットが最も多く販売されている事からもその人気の程が理解できるだろう。ベタ・ブリーダー達もこの魚の改良に全力を注いでいるようで、洋服のニューモデルのように常に新しい色彩をした魚が市場を賑わせている。この改良の勢いは他の改良品種のベタには見られない事から、いかにタイ人がこのプラカットに力を注いでいるかがわかるだろう。

自分は大学生の頃に初めて闘魚用のプラカットを飼育してから、この魚のファンである。約30年間この魚を見続けているが、その改良は止まるどころか、さらに加速している感がある。タイを訪れる度にサンデーマーケットのベタ屋を端から端まで見て歩いては、ニューカラーを見つけると購入して撮影している。
今回、写真で紹介しているホワイトブルーマーブルのプラカットは、最近になって登場した改良品種で、非常に涼しげなカラーパターンが美しい。正にサマードレスのような印象で、夏向きである。このマーブル模様の魚は同じ柄の魚がいない程バラエティに富んでおり、選ぶ際には非常に目移りしてしまう。今回は迷いながらも厳選して選んだ個体をご覧頂きたい。

これだけの美しさのプラカットなのだが、巷ではどうしてもハーフムーンに人気の点で負けているという話しを良く耳にする。カラーパターンの豊かさでは勝負にならない程勝っているし、多少の水質の悪化でヒレが痛むことがない強健さもある。まだ飼育した事がないという方はぜひ一度飼育して、その魅力を楽しんでいただきたい。

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