水作株式会社

山崎浩二のSmall Beauty World

第76回 マハチャイ・ハイブリッド”2020”

オス同士でフレアリングするインベリスの血筋を強く表したマハチャイ・ハイブリッド。尾ビレと尻ビレ後端のレッドは間違いなくインベリスからのものであろう。体色やヒレの色彩はシルバーブルーである。

このコラムでは、タイの自然やベタ・シーンの様子をリアルタイムでお届けしようと務めていた。
ところがこのコロナ渦のためにタイでの滞在にも制限があり、2020年の9月末に後ろ髪を引かれる思いで日本に帰国した。
一度帰国してしまうと、再びタイに行くのは非常に難しくなると考えていたのだが、実際その通りで、二週間の強制隔離やコロナの陰性証明の提出、10万USドルの保険、日本のタイ大使館で渡航許可証の申請等、諸々の面倒な手続きや余計な出費がかかるようになってしまった。
無理して渡航しても、まだコロナの感染が収まっていないタイでは、行動制限が多く仕事どころではない。
これらは2022年春までには緩和されそうなので、それまでタイへの渡航はお預けである。
と言うような状況で、新鮮な情報をお伝えできないため、コラム執筆への意欲も失せてしまい、しばらくお休みしていたのをお詫びしたい。
よく考えてみれば、コラムのネタは十分な程仕込んで来ているので、次にタイに行けるまではストックの写真と情報でこのコラムを続けていく事としよう。

さて、今回は2020年9月に帰国する直前にチャトチャックで見つけたマハチャイ・ハイブリッドの話である。
例によってチャトチャックの通称ベタ通りをチェックして歩いていると、ワイルド系に力を入れているショップから声がかかった。
これを見てみろ!とガラス容器の仕切りを外し、懐中電灯を渡された。
ここのベタ屋の多くは薄暗く照明などを使っていないところが多い。
特にワイルド系は明るい環境を嫌うので、ノーライトの店がほとんどである。

尾ビレと尻ビレの赤いインベリス・カラーと体色のブルーグリーンが美しいマハチャイ・ハイブリッドのオス個体。各ヒレの大きさは原種よりもやや大きくなっている分見応えがある
体色とヒレの色彩がパープルブルーに染まった美しいマハチャイ・ハイブリッドのオス個体。マハチャイ・ブルーと呼ばれているタイプによく似た表現型の個体である。

この薄暗い環境で魚をチェックするには懐中電灯の明かりが必須であるため、店の主人は必ずライトを貸してくれる。

ハイブリッドと言うよりも原種のマハチャイに非常に表現型が似ている個体である。やや細身の体型、よく伸長した尾ビレの中央など、オリジナルの特徴を強く表している。マハチャイ・ハイブリッドとしての魅力には欠けるので、人気はどうであろうか?

自分が目を付けた魚を自ら照らしながらチェックするスタイルなのだ。

店主は横一列に並べられた魚を示して、これらはマハチャイ・ハイブリッドだと説明してくれた。
しかし、そこに並べられている魚の姿はどう見ても同じではない。
色彩も体型も異なっているのである。
そこでこれらは本当に同じマハチャイ・ハイブリッドなのか尋ねると、自信を持って間違いないと返事が返って来た。

納得がいかないので、さらに質問をすると、このマハチャイ・ハイブリッドは、オスのマハチャイにメスのインベリスを交配したF1なのだそうである。
これを聞いてやっとこの表現型のバラツキに納得がいった。
この際にマハチャイのタイプやインベリスの産地なども聞いておくべきだったのだが、それ以上の細かい点は聞きそびれてしまった。
今までにもこのコラムではマハチャイのハイブリッドは紹介してきたが、今回のは表現型の違いも興味深いので改めて紹介したい。

ハイブリッドと言うよりも原種のマハチャイに非常に表現型が似ている個体である。やや細身の体型、よく伸長した尾ビレの中央など、オリジナルの特徴を強く表している。マハチャイ・ハイブリッドとしての魅力には欠けるので、人気はどうであろうか?

今回のマハチャイ・ハイブリッドは、大きく分けて5タイプに表現型が見られた。
ひとつはインベリスの血統を強く感じさせるが体色がシルバーブルーになる個体。
次に同じくインベリスの血統を強く表すが、体色がブルーグリーンの個体。
マハチャイの血統の方を強く感じさせるのは、体色がブルーパープルに染まった個体とブルーグリーンに染まった個体である。
この2タイプは、マハチャイ・ブルーやマハチャイ・グリーンと呼ばれる魚にもかなり似た雰囲気である。
最後がかなりマハチャイの原種の血統を強く残した個体で、体型や色彩、特に尾ビレの形態などは原種とほぼ同じである。
尾ビレの形態に関しては、他の4タイプもやや中央が伸長するマハチャイの血筋を残しているのは確認出来るが、最後のタイプは伸長具合も顕著である。
メス個体もオス個体ほど明確ではないが、表現型にはバラツキが確認できる。
このようにワイルドの原種同士の交配では、F1でこのように表現型にはバラツキが出るのは理解して頂けただろうか?

腹部に良く発達した卵巣が透けて見えるマハチャイ・ハイブリッドのメス個体。オスの表現型と似たタイプのメスをセレクトして交配していけば、気に入った色彩の個体の固定も可能だろう。
体側のブルーグリーンが美しいマハチャイ・ハイブリッドのメス個体。尻ビレ後端には薄っすらとインベリス由来の赤い色彩が確認できる。尾びれに入る黒いスポットはマハチャイ由来であろう。

このようにして出来たF1の個体だが、同じ表現型のメスをセレクトして交配していけば、気に入った表現型を固定できるはずである。タイでは既に普及種となっているエイリアン(このコラムではトリプルクロスという名称で紹介して来た)は、かなり固定率も高く、繁殖させてもバラツキは少ない。
これは初期に苦労して交配して固定率を高めた結果であろう。

2022年にタイに行くことが出来たら、このようなベタがどれだけ変化しているのか楽しみである。

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