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山崎浩二のSmall Beauty World

第65回「ニモベタ・ベールテール」

2020年1月 公開

オス同士で闘争するニモベタ・ベールテール。細身の体型と流れるような伸長した各ヒレが魅力的である。
ハーフムーンを見飽きると、原点回帰と言うのか、こうしたオールドスタイルの魅力に惹かれるようになってしまう。

コイベタが作出された頃から気になっていた疑問がある。
それは、新品種の市場へのリリースの順番である。
コイベタが人気を博していた際、まず最初に市場にお目見えしたのは、当然のごとくショートフィンのプラカット・タイプの魚であった。
日本の市場での人気は今ひとつのようであるが、タイのベタ・マニア達の間では、ベタと言えばプラカットが断然人気が高い。そのため、新品種はまずプラカット・タイプである事がほとんどである。

コイベタの際も、まずプラカットが市場を席巻し、人々が少し飽きて来たかな?という頃に、派生系であるコイベタ・ハーフムーンが市場にお目見えした。
このようにタイのブリーダー達も、市場の動向をよく見て作る魚を考えているようだ。とは言え、タイの市場でのハーフムーンのの比率はそんなに大きくはない。
どちらかと言うと、タイ国内の市場と言うよりも、海外への輸出用に使われていた感じが強い。こうした新品種が市場の活性化にも繋がることは、タイのブリーダー達も良く理解しているのだろう。

この個体は、尾ビレのベールテールも流れるように美しく、体型も申し分ない。腹ビレ、尻ビレ、尾ビレの透明部分に色彩が乗れば、更に美しくなったであろう。

コイベタのハーフムーンが市場にリリースされてから、かなり経ってからコイベタのベールテールが作出されて、市場に流れるようになった。
更にその後になって、フルムーンやクラウンテールのコイベタもリリースされた。
この際に、自分は新品種のリリースの順序に???と思った記憶がある。
考えたのは、ハーフムーンの方が、コイベタの色彩を移行し易かったのでは?ベールテールやクラウンテールは、飼育やブリードは簡単だが、コイベタの色彩を移行するのは難しかったのでは?単に市場での需要や価格を考えての事?
などと色々考えたりしていたが、直接ブリーダー達に尋ねる機会がないまま、この疑問は忘れてしまっていた。

2017年の末頃にコイベタから作出され、その派手な色彩からここ2年ぐらい市場の人気を博しているニモベタだが、この品種に関しても、派生系の新品種のリリースの順番が、コイベタと同じ流れとなっている。
まず最初にプラカットが作られて、その次にハーフムーン、それからダブルテール、2019年になってベールテールがリリースされた。
流れ的にはコイベタの時と同じパターンである。
やはりこうした特徴的な色彩をベールテールに移行するのは、難しい事なのであろうか?

赤と黒、黄色の配色が美しく、色彩的には遜色のない個体と言えるだろう。尾ビレの後端の乱れがやや気になってしまうのが、欠点と言えるかもしれないが、全体としてはかなりグレードの高い個体である。

現に、あれだけ多くの色彩パターンを持つプラカットだが、その色彩はベールテールの魚には移行されていないのが現実である。これが、単に価格的に安価なベールテールに、余計なエネルギーを使いたくないと言うのであれば、十分理解できる話であるのだが‥‥。
現実はそう単純なものではないようだ。
2019年の秋にバンコクに行き、チャトチャックなどでタイのベタ市場を眺めていた際に非常に気になる事があった。

ある時、美しいニモベタのベールテールの魚を見つけた。色彩も体型やフォルムもパーフェクトな魚であった。
まだこの品種は撮影していなかった事もあり、モデルとして欲しくなり、店主にその値段を尋ねた。返って来たその値段を聞き、一瞬耳を疑ってしまった。日本円で2万円近い値段だったのである。撮影用に欲しいが、あまりにも高過ぎる。仕事として考えたら、元が取り返せないので購入は諦めた。
だが、こんな高価なベタは自分の知る限り初めてである。タイで購入する人はいるのだろうか?と言うような疑問が湧き上がり、しばらく影からその店の様子を伺っていた。

スリムな体型と流れるような尾びれ、ニモベタのベールテールとしてはかなりレベルの高い個体と言える。尾ビレにもっと赤い模様が入れば、さらに目立つ個体となっていただろう。強いて言えば、やや老成化した個体なので、腹ビレや背ビレの癖が気になるのが、欠点と言えるだろう。
オレンジ色の基調色も鮮やかで、ニモベタのベールテールの典型的とも言える個体である。まだ若い個体なので、各ヒレにも癖がなく、美しく伸長している。欲を言えば、尻びれと尾ビレにもう少し色彩が入れば、更に美しくなったであろう。

案の定、新品種であるニモベタのベールテールは目を引くようで、多くの人が気になって値段を尋ねている。しかし、皆さん値段を聞いた瞬間、えっ!という顔をして、無言で店を後にしている。
貨幣価値の異なる日本人である自分が高いと思う値段を、タイ人が高いと思わないはずがない。実際タイの物価は、日本の1/3ぐらいと思っていただけば、間違いないだろう。
日本の市場でも2万円のベタは、十分高過ぎるのだが、タイの人達にとっては6万円ぐらいに感じる値段なのだ。と言う現実を見て、タイでもベールテールだから安価と言う考えはないのだと認識させられた。

やや明るめの体色が美しいニモベタのベールテールである。各ヒレの伸長具合は申し分ないのだが、背ビレ、尻ビレ、尾ビレの透明部分に更に色彩が乗っていれば、より見応えのある魚となったであろう。パーフェクトな個体は、手が出せるような価格ではないのが、ニモベタ・ベールテールの現状の一番の欠点であろう。

そう言えば、扱っているのはチャトチャックでも数軒しかないが、ベールテールの美しい魚は、かなり良い値段で売られているようだ。
最近、ベールテールの魚をあまり撮影していない事に気付いたので、2020年の課題は、美しいベールテールの撮影にしようと思った次第である。さすがに2万円のモデルをポンと購入できるようなお金持ちではないので、足と自分の眼を使って、もう少し手頃なニモベタのベールテールを探した。
2019年の年末には、何とか数個体をゲットして、日本に持ち帰り、無事に撮影を行った。

今回、このコラムで紹介するのは、2万円するような最上級な個体ではないが、十分魅力を伝える事ができると思う。来年には、もっと良い個体も手頃な価格で入手できるようになるだろう。
その際には、またこのコラムで紹介しよう。

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