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山崎浩二のSmall Beauty World

第61回「イエロー・インベリス」

2019年4月 公開

オス同士でフィンスプレッディングするイエロー・インベリスのスチールブルータイプ。細身の体型はほぼインベリスで、特徴である尾ビレの縁取りと尻ビレ後端は赤が黄色に置き換わっており、その特徴も顕著である。ワイルドベタの愛好家に好まれそうな個体である。

もう日本でも販売されているので、手に取って頂いた方も多いかもしれないが、久々にベタ関係の大型本を製作した。
Betta2020と言うタイトルの本で、改良品種のベタを2020個体オールカラーで紹介している。
本のタイトルは来たる東京オリンピック2020に因んだものだ。
もちろんワイルド・ベタ好きのために、スプレンデンス・グループの原種ベタとその地域変異やハイブリッドも多数紹介している。
ベタ好きには必携の一冊となっているので、ぜひ多くの方に読んで頂きたい。
と、本の宣伝はこれぐらいにしておいて、本題に入ろう。

スチールブルータイプのイエロー・インベリスのオス個体。この個体では、尾ビレや腹ビレの黄色部分にやや赤い色素胞が残っているのが確認できる。系統維持する際には種親に選びたくない個体と言えるだろう。

今回の本は、アクアライフ誌でも活躍している大美賀隆氏との共著であり、製作には相当の時間と苦労を要した。
そこで、バンコクで完成のお祝いでもしよう!と言うことになったのである。
タイで最も暑い4月、先にバンコク入りしていた自分の元へ大美賀氏が訪ねてきた。
ただし、お互いバンコクで本の完成打ち上げだけ終わる性格ではない。
当然、二人とも次回の本に備えて、新たなモデル探しや撮影をしてしまうのである。
この辺は貧乏フリーランスの習性だろうか?
と言う事で、時間があれば酷暑のサンデーマーケットを、モデルのベタを探してうろついていた。

またそのブルーの乗り方は個体により変異が大きい。系統維持の際にはメスの選択も重要になるので、オス同様に慎重に選別したい。
イエロー・インベリスのメス個体。メスもオス同様に赤い色素は失っているようだが、体側のブルーの色素は残っている。

いつもの穴場ショップに行くと、棚の一番上の見にくい場所に、見慣れない魚の姿が!
ケースの仕切りを引き抜くと、見た事あるようだが、目新しい魚がフレアリングを始めた。
体型などはインベリスそのものなのだが、特徴である尾ビレや尻ビレの赤い色彩が見られない。
通常赤である部分が黄色に置き換わっているのだ。
店主に尋ねると、イエロー・インベリスだと言う。この店のオリジナルの新品種らしい。やはりこの店は、定期的なチェックが欠かせないと感じた。
日本ならこうした新しい魚には、何かしらポップを付けて目立つようにアピールするであろう。
しかし、ここタイではそうしたアピールは皆無である。新しい品種は、自分の目で判断して探す必要がある。
それだけに目利きは非常に需要である。目利きの出来る者だけが、他より早く良い魚をゲットできるのだ。

ギラギラした金属光沢のある体色を煌めかせているイエロー・インベリスのブルーグリーンタイプのオス個体。この個体は体型もインベリスっぽく、尾ビレと尻ビレの黄色の入り方も申し分ない。ぜひ次世代にもこの体色を引き継ぎたい。

このイエロー・インベリスは派手さはないが、ワイルドベタ好きには非常に惹かれるものがあった。
値段を聞くと、手が出ないほど高価でもなかったので、当然のように二人とも即2匹ずつ購入してしまった。
販売されていたのはオスのみだったので、メスがいないか尋ねると、ファームにいるので翌週持って来てくれる事になった。
やはりこうしたベタはペアを揃えて、繁殖までチャレンジしたくなる。
この際に入手したオスは、体色がスチールブルーだったので、以前このコラムでも紹介したスチールブルー・インベリスから作出したものかと想像していた。
翌週、メスを受け取りにサンデーマーケットに行くと、例のお店には別店舗があることを知った。
そちらの店を覗くと、前の週に見たスチールブルー体色のイエロー・インベリスの他に、体色がブルーグリーンやブルーの個体も並んでいた。
この時はタイ人の相棒が一緒だったので、この魚についてあれこれ質問をしてみた。
そうすると、このイエロー・インベリスは、純系ではなく、スプレンデンスのマスタードガスとの交配で作出したものである事が分かった。
マスタードガスは、ブルーとイエローの色彩が美しい品種で、赤い色素が入らないのが特徴である。
それにしても、インベリスの特徴である赤い色素を取り除き、イエローにしてしまうとは、タイのブリーダーの感性には驚きである。
日本人では、絶対に思いつかない発想である。

と言う事で、また店頭に並んでいるブルーグリーンやブルーのイエロー・インベリスを、撮影のために購入してしまった。
個人的には、最初に購入したスチールブルーのタイプが、最もインベリスっぽくて好みであった。
体側にブルーがべったり乗ったタイプでは、体型が太くなったらプラカットになってしまいそうである。
こうなると、どこまで改良して良いのか、微妙である。

体側がメタリックブルーで覆われたイエロー・インベリスのオス個体。本品種の特徴である尾ビレの黄色の幅はやや細くなっているのが残念である。色彩的には美しいのだが、インベリスの野性味は感じられなくなっており、人により好みの別れる個体と言えるだろう。
奥のブルーグリーンタイプと争うブルータイプのイエロー・インベリスのオス個体。体側の地色も黄色味がかっているのが確認できる。特徴である尾ビレと尻ビレの黄色もはっきりしており、落ち着いた美しさが魅力である。

本品種の一番の特徴は、尾ビレの縁取りと尻ビレ後端の黄色と言えるだろう。
スチールブルーやブルーグリーンでは、それが顕著だが、ブルータイプでは、ややはっきりしない個体も見かけた。
またこの黄色部分に僅かに赤い色素が残っている個体も確認できた。
本品種では、インベリスの細身の体型を維持しつつ、尾ビレと尻ビレの黄色を濃く残し、体側の色彩もワイルドっぽいのが、完成形と思われる。
美しく魅力的な品種なので、これから日本でも見かける機会は増えていく事だろう。
流行り物だけでなく、こうした品種も紹介される観賞魚業界であって欲しい。

最後にベタの愛好家にとっては嬉しいニュースを聞いたので、報告しておこう。
タイでは、国の国魚として、ベタを指定するかどうかが案件であったのだが、つい先日それが政府で了承され、晴れて”タイの国魚ベタ”となった。
ベタと言えばやはりタイが一番なので、これからもベタシーンを牽引して頂きたい。

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